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2007年09月23日

パンピングナイロン(スコット・テナント)

ギターテクニックのポイント本。

なんかものすごい“現代奏法”の集大成みたいに考えられているが、おそらく「まとも」にクラシックギターを弾いている人(&教えている人)であれば、すべて周知の技術が書かれている。

この本を読んで、「え!そうなの?」という人は、おそらくかなり無理してギターを弾いているのだろうな・・・という試金石ともいえる本。

できれば、この本の中からギター奏法の基本となる“考え方”を見つけ出して欲しい。

まねしても駄目・・・ということです。

全てのクラシックギタリストにお勧め。

2007年09月19日

汎音楽論集(高柳昌行著)

高柳氏はジャズの分野で活躍。
日本のフリージャズの開祖とも言える人である。

帯の文句「糟も残らぬ音楽等、論外である」・・・ハードな言葉。
内容は様々な雑誌などに寄稿したものを集めたものである。

ガボール・サボを音楽家として高く評価している。オリジナリティの観点からである。

個人的にはローリンド・アルメイダの来日公演への批評が面白かった。
とてもひどい演奏だったらしい。ところどころにクラシックギタリストへの深い造詣が伺えるところもあり、博学であったのだなと感心した。フラメンコも聞いているし、ショーロなどもすでに研究していたそうだ。

こりゃあ、凄い人が日本にもいたものであると、ひたすら感心して読み進めた。


2006年11月07日

入門者のためのセゴビアメソッド

入門者・・・となっているが、実際の内容は「セゴビア写真集」といってよい。
手がでかい!と思ったり、ああ、セゴビアってロマンティスト・・・というような文章がたくさん載っている。

つまり教則本としてはあまり役にたたない。
(教則本として使うのには大きすぎる・・・!)

セゴビアのファン&資料集めが好きな人には嬉しい一冊。
おそらく現在絶版。

2006年10月26日

「芸術力」の磨きかた(PHP新書)

いわずとしれた、林望の本。
なんだか、この人の守備範囲は広い。
でも、読みたびに、なんとなくすらっと読めてしまって、それでいて、それなりに役に立つ。
・・・おそらく、それでいいのだろうね。

芸術とは何か?それを日常の中で見つけていこうというのが、この本の趣旨。
芸術は、生活のなかにとりいれるべきものである!という主張である。

それをアクティブに「遊び」の感覚で取り入れる方法、学びの方法も伝授している。

私が面白かったのは、何故かリンボウ先生の趣味のひとつがクラシックギターだということ。
まあ、楽器習得には基礎練習が大事!という例として取り上げているのですが、ギター習得には音階が重要!と述べているわけです。

ただし、ギターの醍醐味が現在のラミレス(リンボウ先生愛用)から学べるとは思いませんが。
(ラミレス信者の方には申し訳ないが・・・)


この本は、趣味を探している人、また習い事をしていて煮詰まってしまった人にお勧め。
ある意味、ちょっと偏りがありますが、リンボウ先生の意見には「ぶれ」がありません。
まあ、間違ったことは言っていませんし。

芸術関連ビギナーにお勧めの本。

2006年10月10日

パークニング自伝(クリストファー・パークニング著)

「Grace Like A River」が原題。
英語で書かれているが読みやすい。

パークニングといえば、セゴビアの愛弟子として有名。
本人もセゴビアの後継者であると自覚しているのであろう。

というわけで、セゴビアのことがたくさんでてくる。
「セゴビアの教え」が随所に出てきて、ある意味では「弟子から見たセゴビアテクニック覚書」としても読める。

もちろん、パークニング自身がレコーディングや演奏活動において学んだものが、その試行錯誤の過程も含めて書いてあるので、それも参考になった。

残念なのが、ロメロファミリーに最初のギターの手ほどきを受けたのにもかかわらず、それについてほとんど触れていないこと。セレドニオ、またはぺぺの教えがどのようなものであったか?もう少し詳しく書いてあれば、面白かったのに・・・とも思う。

まあ、それにしてもギタリストが読んで、とても参考になる本には違いない。

おまけでCDがついています。日本円で2000円前後なのでお買い得かも。

2006年09月13日

インプロヴィゼーション(デレク・ベイリー)

ギタリスト、というよりは即興演奏家として名高いデレク・ベイリー氏の著書。
様々な即興演奏の分野との対話から、得られたものを文章にしている。

インド音楽、教会オルガン音楽、フラメンコ、ジャズなどの『即興』について深く掘り下げている。
結局は音楽とは何か?作曲とは何か?ということを考える作業になってしまう。
楽器とそれを操る身体、そして身体をコントロールする精神・・・これらの関係から、どのような音楽が生まれるのか?ということを自由に考えている本。

大学生の頃、この本を読んで、「ああ、音楽って、いろいろ考えた上で、てきとーにやっていいのね」と思ったが、現在プロになって、おりおり思考の檻から出られないことがたまにある。そんなときは徹底的に考える。いろいろな本を読んだり、考えを整理したり。
結局は、楽器を弾いていると、その思考の檻から脱出できることが多いのである。結局、ぐちゃぐちゃ考えるよりも、実際の音から学ぶものは多い。
もちろん逆も多い。

このあたりの、楽器(音)、身体、精神、のバランスがコントロールできたときに、真の音楽家となれるのかもしれない・・・そんなことを考えてしまう本です。


2006年09月07日

ギター音楽への招待(高橋功)

それにしても凄い情報量!
けっして新しい本ではないが、シェーンベルグ、ヘンツェ、ルーセル、ミヨー、マリピエロ・・・などなど、かなりの情報量である。(現在のギタリストでも、これらすべての資料を持っている人は少ないのでは?)

クラシックギター音楽について、当時これほどまで資料を集めたとは驚きである。

コンクールの情報などはちょっと古いが、どのようなギタリストを輩出しているのかがわかる。

終わりのほうにある「ギターに貢献した邦人」もリベラルな視点で書かれている。
古賀政男とクラシックギター界との関わりなどは必読。

出版社の資料も貴重。これだけまとまっているのは珍しい。しかもギター関連という意味で。

1972年出版、という本なのに、内容は色あせない。
クラシックギター史の基本書である。

2006年09月06日

ギタリストの余韻(小原安正)

現在の日本ギター界のベースメントを築いた小原安正氏の著書。
「古賀ギターと対決する」など、ギターへの熱い情熱を感じる。
ギターの持つ大衆性と下劣な通俗性を一緒にしないこと!が小原氏の信念であった。
現在では古賀政男作品の価値も純粋に評価されているが、ギターの可能性を信じていた小原氏の情熱を感じることができる。

とにかく、クラシックギターとは戦後どのような発展をしていったかを知るには格好の本。
おそらく、私なんかは、小原安正氏の代から考えると孫レベルに位置しているわけで、実はこのあたりの世代の人の話をまとまって読める本は非常に少ない。

まあ、クラシックギターを弾く人なら、とりあえず購入。この手の本は絶版になると入手困難になりますので・・・。

2006年08月25日

スペイン音楽のたのしみ

いわずとしれたスペイン音楽入門書・・・であるが、最近読んでいる人いるんであろうか?
なんだかんだいって、とっても読みやすい。
アントニオ・ホセ、アンドレス・セゴビアなども登場。そういう意味でギター弾きなら読むべし。

2006年08月23日

マンドリン物語

ギターとマンドリンの歴史を平行して学ぶと学ぶべきところは多い。
共通している部分もあるし、まるで違う発展をした部分もある。

お互いに学ぶべきところが多いのである。
この本の著者の有賀敏文氏は現役の作曲家、マンドリン奏者。私も一緒に演奏する機会が多い人です。
資料をしっかりと収集。わかりやすく読みやすい。
マンドリン関係者はもちろん、ギター弾きにも読むことを薦めます。

2006年06月08日

メイキング・マスター・ギター(現代ギター社)

副題は「ギターの名器とその製作法詳説」とある。

それほど難解な本ではない。
いいギター選びをしたいな~という方のためにもなる本。
材料や力木による音への影響や塗装の種類なども詳しく解説。

スペイン式とドイツ式などの違いなども大まかにつかめる。
名器の寸法、構造をしっかりと研究している点も良い。

著者はロイ・コートナル。

専門家が読んでもためになる。

ロマニリョスのインタビューなどもあり、意外に読みやすい。
ギターを弾く人は読んでおくと、楽器屋などで試奏するときちょっと堂々と弾けるかも。

でも頭でっかちにはならないように・・・気をつけて。

ちょっと高めの本ではあるが、ギターを弾き続けるならば、是非持っていたい本。

2006年05月09日

トナッツィ著「印象派のギタリスト~ミゲル・リョベート」

ベルベン社より出版されている、ギタリスト、リョベートの伝記。
&楽曲解説。
もともとは古い本。1965年出版だそうな。

イタリア語で書かれているので、とりあえず流し読み。
じっくり読めば、楽曲解説などいろいろと情報がありそうである。

2006年04月05日

「ギターは日本の歌をどう変えたか」(平凡社新書)

現代ギター社刊「ギターの歴史」は確かにいい本だが、ある意味で「ギター史」の本で軽めのものがあった。
それがこの本。

実はギター史の本である。クラシックギター史の本ではないが、もちろん全てのギターの根本はクラシックギターであるので、20世紀に入るまではクラシックギター史の本といってよい。

リュートやビウェラとの関連、セゴビアの登場、日本でのギターブームなども書いてあり、ある意味では「日本のギター史」本と言える。古賀政男についても書かれており、そのセゴビアとの関連も触れている。そういう意味でも絶対に海外のギター史の本には書かれていない、日本クラシックギター史を簡潔にまとめてある。

新書で読みやすい、安価、という意味でもギター史初心者にお勧め!

「ギターの歴史」(ペフゲン)

ギターの歴史・・・といってもクラシックギターの歴史の本。
おそらく現時点で日本語で読めるもっとも詳しいクラシックギター史の本。

厚めであるが、内容も充実。

もう少し読みやすい簡略版もあったほうがいいとは思う。
でも生徒とかが、「なにかギター史の本いいのありますか?」と尋ねてきたとき、結局この本を薦めることとなる。

そんな本です。

2006年04月01日

「もう一度ラグリマ」

2002年に惜しまれつつ亡くなったクラシックギタリスト平田宏氏の義理の妹である両角 早百合さんによる本。
平田氏との関係をエッセイ風に綴っている。
家族との関係を中心に書いているので、ギター関連の記事を期待しているとがっかりするかも。
でも、平田氏の人柄や音の魅力が様々なエピソードから浮かんでくる。

1時間ほどでさらっと読める。
ギタリストというのも、1人の人間である・・・という実にあたりまえのことが当たり前に書かれている。
(こういう本が意外に少ない)