2009年02月05日

街場の教育論(内田樹)

ひさびさに読んで「すっきり」した本。
極めて、私の考えに近く、そして自分の考えを「まとめる」のにも役立った。

「コミュニケーションの教育」の部分の「音楽」に関する部分は、音楽家であれば必読(極端な話、立ち読みでもいいから読んで!!)。

これほど、明解に音楽と人間との関わりを表した文章をひさびさに読んだ。

ごくごく「当たり前」のことが書いてあり、これが現在忘れ去られているのが、近年の私の「いらいら」の原因だったのかもしれない…と思った。この本は結構売れているらしいので、そういう意味で私の「いらいら」は正しかったのだろう。

なので、是非騙されたと思って、購入してお読みください。

これで、頭の中がすっきりしない人は、そうとう浮世の欲に流されている人なのかもしれないし、適切な人間関係を築いていない人かもしれません。



投稿者 tommig : 17:51 | トラックバック (0)

2008年12月28日

バレンボイム音楽論

ダニエル・バレンボイム、ピアニストにして指揮者。
音楽と人間との関わりを徹底的に論じている。バレンボイム自身の社会的な活動もその音楽家としての哲学から発生していることもよく分かる。

途中、スピノザの「エチカ」からの引用が多い。(昔読んだがちんぷんかんぷんだった)
彼が思索を深めていく上で、重要なヒントを与えてくれたのが、この著作であるそうだが、バレンボイムの語り口から還元して考えると、スピノザの考えもより具体的に理解することができる。

音楽と人生との関わりについてヒントを得たい人向けの本であると思う。

音楽表現について、かなり根本から「何故?」に対してバレンボイム自身の回答を与えているので、音楽を実践するうえでのヒントもたくさん書いてある。

ちょっと、とっつきにくいが、得られるものも多い本であった。


投稿者 tommig : 15:10 | トラックバック (0)

2008年12月24日

スタニスラフスキー入門

俳優さんと一緒にお仕事をすることがあったので、なんとなく俳優のメソッドというものに興味が出てきた。
とりあえず、有名なので、スタニスラフスキーシステムについての入門書を読んでみた。
スタニスラフスキーが演技に関する指導システムを試行錯誤しながら築いていく過程が主に描かれている。その過程が実に興味深い。心理学や先人のメソッドを参照しながら、自身の思考を構築し、実践し…。
まるで、哲学者のような人だ。


投稿者 tommig : 13:49 | トラックバック (0)

2008年09月06日

「ライリー他・見捨てられた歌 他」

フルートはホーレー、ギターはマクファーデン。
現代アメリカのフルート&ギター曲を集めた渋い一枚。

ビーザー「山の歌」より4曲。全部聴くと長いという人にもちょうどいい長さ。シンディはいい曲です。アメリカンって感じです。

リーバーマンの「フルートとギターのためのソナタ」が入っているのが嬉しい。ギターパートは簡単そうで、弾いてみると難しい。最近、やっとこさ楽譜を入手、やってみたい曲のひとつ。

ライリーの「見捨てられた歌」は、ちょっと東洋風。不思議な音楽です。いい曲。

現代アメリカのフルート&ギター曲は結構進んでいる!と思わせる名盤。

ナクソスのなかのギター室内楽作品としては、実に意欲的な(マニア向け?)一枚。

投稿者 tommig : 00:50 | トラックバック (0)

2008年08月20日

生きた音楽表現へのアプローチ(保科洋著)

音楽表現の方法というものは運動に基づいている。
「ここは力を溜めていって・・・このフレーズの頂点で開放・・・」というようなことをレッスンでいうものである。こう考えると、音楽表現というのはエネルギーの移り変わりで理論化できそうなものではあったが、なかなかこれが難しい。
やはり実際のレッスンの場だと口伝に近い形で、教師がいろいろなパターンにおいて普遍的な表現を教えていかなければ鳴らないのが現実である。

・・・と考えているころに出会った本。かれこれ10年近く前になるかなあ。

スペインで学んだ西洋音楽の表現法のリアルな姿がこの本に理論化されていて驚いたものだ。漠然とケーススタディとして持っていた表現のルールが、理論化できることにびっくりしたのだ。

図などを用いて説明しているが、ちょっと分かりにくいかもしれない。でも、音楽表現を自分で見つけたい人には一読をお勧めする。いくつかフレーズの歌わせかたのコツを知っている人なら、「ああ、そういうことだったのか!」とすっきりするはずである。

音楽表現の理論付けに是非どうぞ。

投稿者 tommig : 18:47 | トラックバック (0)