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2006年08月31日

エスクァイア日本版「発見、クラシック音楽」

ネイガウス氏の書籍を先日紹介したが、偶然にも雑誌「エスクァイア9月号」にロシアピアニズムの特集が載っていた。
確かに、ロシアのピアニストには、共通した音があると思う。それを解明しようとする試みは、ある意味で無謀だが、しっかりとした取材でなんとなくそのルーツが見えてくる。
やはり、雑誌もあなどれない。700円で、この内容&「特集テーマ」は、買い、である。

古楽についての特集も組まれている。重鎮アーノンクールは当然、そしてジョルディ・サバールも当然登場・・・。
面白いのが、サバール・グループの撥弦楽器担当のロルフ・リズレヴァントが登場していることだ!。
ホプキンソン・スミスの弟子という正統派&もともとジャズ奏者出身・・・という変り種。
インタヴューは必読。ジャズ奏者としてプロの仕事をして、夜中にリュートを弾いていた・・・という若き日の回想・・・バロック音楽とジャズの関連・・・
以上のことが、これほどの実力派奏者が語ると、真実味を帯びる。

古楽器=貴族的・・・という短絡的な見方をすると失敗する。
どちらかというと、民族音楽と共通のものが多く、いわばポピュラー音楽ともいえる。
そんなこともなんとなく理解できる、サヴァール氏のありがたいインタビューもある。

2006年08月30日

世界の愛唱歌

意外にメロディーは知っていても、ちゃんとした詞を知らなかったり・・・
ドナ・ドナとか、結構オリジナル詞は“ブルーズ”ですね。
楽譜付で、見開き右ページは解説。これがまた読みやすく、寝る前とか暇つぶしに良い。
ちょっと、トリビアっぽいネタも多いですね。

あ、もちろん、ちゃんと全部読んでも、唄ってもよろしいです。

2006年08月28日

世界の音を訪ねる(久保田麻琴)

ワールド・ミュージックとその正体が『なんとなく』分かる本。
なんとなく、と書いたのは悪い意味ではない。

音楽の根源を筆者なりのフットワークで探っていく姿が記録されている。
それは、決して懐古主義でも、マニア的でもなく、あくまでもミュージシャンとしてのスタンスでの記録だから、『なんとなく』理解できるのだと思う。

第1部モロッコ編に書いてあるグナワについての記述がその好例。
グルーブとは何か?について、それを感じる方法を文章化してある。
実際やってみると、ほんとうに「感じることができる」のである。グルーブが。
この部分だけでも読んでみることがお勧め。

研究家的な理論と例証ではなく、久保田氏がミュージシャンとしての実践を通じて考えたことを文章化している。
『なんとなく』というのは、そういうことです。

2006年08月26日

ピアノ演奏芸術(ネイガウス)

モスクワ音楽院在籍40年、名教授ネイガウスの名著。
ピアニストです。
私がバルセロナでアレックス・ガロベーに師事していたとき、彼が薦めてくれた本がこれ、でした。
それで、さっそく本屋で「スペイン語版」を購入。なんとか苦労して読みましたが・・・。
あんまり分かりませんでした。

ということで、帰国してから日本語版が改訳されて発売されていました。
読み直しても、いまいち分かりづらい。何回が読み直して、いろいろと頭の中で想像しながら解釈・・・すると「名著」である理由がわかります。

特に「第二章 リズムについて」は必読。音楽の本質はすべてリズムにある、ということが分かります。具体的な例が多いので、すぐに演奏に結びつくことが多く書かれています。

2006年08月25日

スペイン音楽のたのしみ

いわずとしれたスペイン音楽入門書・・・であるが、最近読んでいる人いるんであろうか?
なんだかんだいって、とっても読みやすい。
アントニオ・ホセ、アンドレス・セゴビアなども登場。そういう意味でギター弾きなら読むべし。

2006年08月24日

プラド美術館の三時間

故、神吉敬三先生の本。わが大学の恩師。
卒論担当で、なぜか研究室で暇をつぶさせて頂いた。
名訳。いまでも時々、原書のにらめっこして、『何故こういう訳になるのか?』参考にしている。
あ!というくらい、訳が上手。
大学のスペイン語訳の授業を思い出す。

単純に、プラド美術館を訪ねる前にさらっと読んでおきたい本。
(おそらく、三時間でプラドは回れないだろうね)

2006年08月23日

最近の傾向

最近、スペイン関連の本を再読しています。
ほとんどが、1992年の万博とオリンピック時期に出されたもの。
ということで、生活関連のものは、ペセタで表記されていたりする。

このあたりが懐かしくもあり、こういう本はユーロのおかげで、一般書店からは消えてしまったのだな・・・と感慨深い。

ぼちぼち、こちらのブログでも紹介していきますね。

マンドリン物語

ギターとマンドリンの歴史を平行して学ぶと学ぶべきところは多い。
共通している部分もあるし、まるで違う発展をした部分もある。

お互いに学ぶべきところが多いのである。
この本の著者の有賀敏文氏は現役の作曲家、マンドリン奏者。私も一緒に演奏する機会が多い人です。
資料をしっかりと収集。わかりやすく読みやすい。
マンドリン関係者はもちろん、ギター弾きにも読むことを薦めます。

2006年08月22日

ヘンツェ「ギター音楽集 第1集」

フランツ・ハラー演奏のヘンツェのギター作品集。

「ロイヤル・ウィンター・ミュージック」(第2ソナタ)と「3つのティエント」が収録されている。

「3つのティエント」(=ギター現代曲の定番!)と「ロイヤル~」の第二ソナタを組み合わせているところが、商売上手。ということは第1ソナタはCDの第2集に収録なのであろうか?

まあ、現代音楽を得意とする、フランツ・ハラーの演奏で、ロイヤル・ウィンター・ミュージックが聞けるのはうれしい。しかもナクソスの廉価版。

2006年08月19日

伴奏者の発言

名伴奏者(ピアノ)であるジェラルド・ムーア氏の本。
日常の練習・・・という項で、「一にも二にも自分自身をよく聞く事」が大事だと唱える。
至極まっとう。付け加えて「これを学ぶことが一番むづかしい」という。
ああ、ギター弾きにも当てはまる。
というより、全音楽家に当てはまる。

初見心得、なども書いてある。初見に挑む前に、必ずテンポをとること!と述べる。
ああ、これも「あたりまえ」なのだが、なかなかこれが無意識にできるようになるのには時間がかかりますね。

・・・という具合に、毎回読むたびに反省・・・勉強になる本。
伴奏者以外にも、充分役立ちますね。

(でも、薄い本の割りに、高価である。何故?)

2006年08月11日

ルチアーノ・ベリオ「セクエンツァ集」

現代音楽界の巨匠、ルチアーノ・ベリオの「セクエンツァ」は全14曲あり、それぞれ異なった楽器のために書かれている。
各曲が割合長めの演奏時間であるので、全集となるとなかなか種類が限られた。
セクエンツァを数曲収めたCDもあったが、大概はギターは省略。
ギタリストのCDに単独で収められていることもあるが、「勉強」という意味で考えると、全集の中で聴きたい!という気持ちもある。

そこで、ナクソスからとうとう廉価版で登場。ギターはパブロ・サインス・ビジェガス。
名演奏、名解釈!

2006年08月10日

バビット「独奏と二重奏」

アメリカにおけるセリー作曲技法の大家、ミルトン・バビットのナクソスから出ている作品集。
ホルン、フルート、ヴィオラなど様々な楽器のためにかいた室内楽曲が聴ける。

ギター&フルートの曲が「独奏と二重奏」(ナクソス独特の日本語バージョン帯の記載に間違いあり)が収録されている。
ギタリストは、デヴィット・スタロビン。

2006年08月08日

トランスフォーメーション(村治佳織)

「フェアウェル・トゥ・ストロームネス」を聴く為に購入。
これが収められているのは、他にデイバイン演奏、ナクソスの「イギリスのギター音楽集」である。

他に武満徹の「すべては薄明のなかで」や「ギターのための12の歌」が収録されているが、全体として聴きやすい、そして親しみやすい旋律の曲が収録されている。