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世界の音を訪ねる(久保田麻琴)

ワールド・ミュージックとその正体が『なんとなく』分かる本。
なんとなく、と書いたのは悪い意味ではない。

音楽の根源を筆者なりのフットワークで探っていく姿が記録されている。
それは、決して懐古主義でも、マニア的でもなく、あくまでもミュージシャンとしてのスタンスでの記録だから、『なんとなく』理解できるのだと思う。

第1部モロッコ編に書いてあるグナワについての記述がその好例。
グルーブとは何か?について、それを感じる方法を文章化してある。
実際やってみると、ほんとうに「感じることができる」のである。グルーブが。
この部分だけでも読んでみることがお勧め。

研究家的な理論と例証ではなく、久保田氏がミュージシャンとしての実践を通じて考えたことを文章化している。
『なんとなく』というのは、そういうことです。