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2006年11月27日

アンビエント・ドライヴァー(細野晴臣)

細野晴臣の著作はほとんど購入している。
説教くさい人生論を聞くのは辛い・・・それが人というものである。
細野氏にはまったくそれがない。

辛いない。でも正しい。

マイペースで音楽活動を続けている細野氏。
でも、YMOで音楽シーンのトップを疾走した細野氏。

いろいろな面がある音楽家であり、人間である。
こういう人にしか語れない哲学がある。

しかし、結論を急がないその姿には何故か感銘を受ける。
考え方を模索する大切さ、そしてそこから得られるもののほうが結論を出すことから得られるものよりも大きいということを再認識。

くだらない哲学(宗教)ノウハウ本を買うより、これ一冊。
賢い人なら、得られるものは無限にある本。

もちろん細野氏の音楽が好きな人は、読むと、彼の作品の意味がよーくわかる。

2006年11月25日

アンドレス・セゴビア 1946年&1949年録音集

ナクソスのセゴビア復刻シリーズ第2弾。
これもリマスターが良い。
50代の油がのりきった演奏。勢いと繊細な表現のバランスが絶妙。

これがニュアンスまで忠実に再現されているのだから、“買い”である。
ナクソスだから値段も安い。内容は超一流。第1集と第2集まとめて購入しても2000円前後。

この第2集にはテデスコのニ長調コンチェルトが収録。セゴビアはこの曲を一回しか録音していない。

この頃から弦は現在のナイロン弦へと使用している点もこの録音集は記念碑的なものである。
第1集はおそらくまだガット弦の録音であるから、聴き比べてみるのも面白い。

2006年11月21日

アマゾンの値段

最近、自分の持っている絶版文庫などもこのブログで紹介している。
スペイン物が中心であるが、そのほとんどが絶版。

で、アマゾンのリンクを張るとなにが面白いかというと、相場がわかるということです。

イバニェスはプレミア価格で2000円以上!

意外に、私の本棚は宝の山かもしれない。

葦と泥(ブラスコ・イバーニェス)

岩波文庫絶版本。
スペインの作家、ブラスコ・イバーニェスの作品。
人間ドラマを描いたら、超一流のイバーニェス。

イバーニェスは闘牛士を描いた「血と砂」の原作者として有名かもしれない。

この「葦と泥」の舞台はバレンシア。「沼地のイメージ」が、一般の方が思われるスペインのイメージを覆す。
そういう意味で、是非読んでほしい一冊だが・・・。

このようにスペイン=南スペイン(アンダルシア)というイメージを覆すものは一般には好まれない。
画家でいうとアントニオ・ロペスやタピエスもあまり一般には“スペイン性”が感受しにくい。
でも、スペインで暮らしてみると、上記2名の作品には明らかにスペインの空気感が漂っているのが理解できるだろう。

と、話はすこし脱線した。


で、この文庫だが、おそらく岩波絶版のなかでもプレミアが結構ついている。
私が持っているのは1978年版。それ以降記憶が正しければ出ていないはず。

1000円くらいなら出しても損はない。


2006年11月14日

アンドレス・セゴビア 1944年アメリカ録音集

SPからの復刻版。
音の粒立ちがよい。リマスターが実によい。
いままでのSP復刻と比べると雲泥の差である。

細かいニュアンスが感じ取れる。

セゴビアって、やっぱり凄かった!と思えるマストバイな一枚。
これで、セゴビアの凄さが分からなければ耳が悪いとしかいいようがない。

しかも安い!!
世界遺産級の演奏がこの値段で買えるとは・・・ナクソス恐るべし。

2006年11月11日

風姿花伝(世阿弥)

教育論、芸術論を語りたい人なら必読の一冊!
岩波版は安くて、とても手軽に持ち歩きできる。
持ち歩いてたまに読むにはとてもいい本だと思います。
カバンに一冊。
(何度も読めば分かるかも?)

現代語訳もあります。
これもお勧め。

2006年11月08日

色気のないブログで・・・

最近、tomikawa blogの読者も増えてきました。
本紹介、CD紹介のブログなのですが、アマゾンとリンクすれば勝手に画像が出るというのが魅力だったのですが、商品によっては「画像なし」というのがあります。

「No Image」ってやつですね。
この「ノーイメージ」が、最近の記事では連続しています。

だからといって、自分で本をデジカメで撮ってアップするのも面倒だし・・・。

とりあえず、色気のないブログですいません。しばらく我慢してくださいね。

ナポレオン時代のギター伴奏歌曲集

カルッリ、ジュリアーニはクラシックギターを愛好する人ならおなじみの名である。
カルッリはエチュードで有名。
ジュリアーニは演奏会用楽曲が有名。

その両者とも歌曲を書いており、その録音となるときわめて珍しい。

珍しいのだが、演奏が・・・ちょっとひどい。もうちょっとなんとかならなかったのか!と叱りたくなること必須。
中古盤屋かアマゾンで1000円前後なら買い、だろう。それ以上だすと、マニア以外はがっかりする。
ご注意あれ。

2006年11月07日

入門者のためのセゴビアメソッド

入門者・・・となっているが、実際の内容は「セゴビア写真集」といってよい。
手がでかい!と思ったり、ああ、セゴビアってロマンティスト・・・というような文章がたくさん載っている。

つまり教則本としてはあまり役にたたない。
(教則本として使うのには大きすぎる・・・!)

セゴビアのファン&資料集めが好きな人には嬉しい一冊。
おそらく現在絶版。

2006年11月05日

醜聞(アラルコン)

アラルコンの宗教小説。
岩波文庫で上下巻で出ているが、おそらく現在は入手困難。
古本屋でもプレミアがついている場合が多い。
(100均コーナーとかであったらめっけモンですよ)

岩波文庫からでているスペイン作家のものはほとんど全て持っているのが、実は私の自慢。
岩波文庫収集が大学生の頃の趣味でした。

このアラルコンの「醜聞」は内容は、とてもスリリング。
主人公がどんなことをしても神は人を救わない・・・。
運命を変えることは神をしてもできないのである。

宗教小説だが、生々しいくらいの人間の愛憎が描かれている。
読んでいてとても辛くなる。

結局は、「神を信じることができた自分」を受け入れることで精神的な安定を得ることが最終目標であり、神に頼ってはいけないのである。

まあ、そういうキリスト教の根本原理をなんとなく理解することができた作品。
大学生の頃読んで、いたく感銘した。今でも「人生を変えた50冊」といわれれば、この作品は必ずいれるだろう。

2006年11月04日

ナディア・ブーランジェとの対話(ブルノー・モンサンジャン著)

ナディア・ブーランジェは「20世紀最大の音楽教育者」といわれる。
ソルフェージュ、和声、解釈、分析などのレッスンを行い、様々な優秀な弟子を輩出。

著者モンサンジャンが、彼女と対話を行い、まとめたもの。

ブーランジェの音楽に対する考え方を引き出していく。
徹底的に正統派の教育家。
ある意味で“知識の詰め込み”・・・ともいえるやり方であるが、楽曲を徹底的に分析すれば「バッハのフーガを週に1曲暗譜するなんて誰にでもできる!」という。

つまり、音楽家としての基礎技術(和声、ソルフェージュ、分析などなど)を身につけることが、なによりも大事、というポリシーのもとに教育をおこなってきた人物。

この本には、その偉大なる音楽教育家の至言が詰まっている。

問題は一点。訳が固い(部分的には誤訳もありそう・・・)ので、読みにくい。
残念ながら、原文を想像しながら読んだ。
最初読んだのは大学生の頃。
指示語が足りなかったりするようなところを補足して読んだ。
(生意気にも鉛筆で書き足してあったりする)

今でもたまに読み返す。
そうすると意外に「あ、わかった!」というところも増える。

そういう意味でも何度読み返しても面白い本。(個人的に)
逆にいえば、読み返さなければ得るところは少ない本ともいえる。

2006年11月03日

ギド・サントルソラ ギター作品集

シーワース演奏。
サントルソラのギター作品がまとめて聴けるのが嬉しい。
演奏も良い。お手本的演奏だが、手堅い。
ソントルソラの作風は多岐にわたっている。ルネッサンス風あり、古典風あり・・・。
もちろん、現代的な語法を使った曲もありますが、いずれにしても聴きやすい。

美しい作品が多いのに、弾かれないのは何故か?・・・知名度が低いから?
(楽譜も入手が難しいのもあるかも)
まあ、いろいろ考えられるが、是非お聴きください。

シーワース女史の演奏が、“手堅い”ので、すこしとっつきにくく思うかもしれないが、本当に“美しい”作品が多いですよ。
(おそらく、楽譜から表現を丁寧にさらっていけば、もっと魅力がでるはず。シーワース女史の演奏は悪くないが、あくまでもお手本だと思って聴いたほうがベター)