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醜聞(アラルコン)

アラルコンの宗教小説。
岩波文庫で上下巻で出ているが、おそらく現在は入手困難。
古本屋でもプレミアがついている場合が多い。
(100均コーナーとかであったらめっけモンですよ)

岩波文庫からでているスペイン作家のものはほとんど全て持っているのが、実は私の自慢。
岩波文庫収集が大学生の頃の趣味でした。

このアラルコンの「醜聞」は内容は、とてもスリリング。
主人公がどんなことをしても神は人を救わない・・・。
運命を変えることは神をしてもできないのである。

宗教小説だが、生々しいくらいの人間の愛憎が描かれている。
読んでいてとても辛くなる。

結局は、「神を信じることができた自分」を受け入れることで精神的な安定を得ることが最終目標であり、神に頼ってはいけないのである。

まあ、そういうキリスト教の根本原理をなんとなく理解することができた作品。
大学生の頃読んで、いたく感銘した。今でも「人生を変えた50冊」といわれれば、この作品は必ずいれるだろう。