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2009年02月05日

街場の教育論(内田樹)

ひさびさに読んで「すっきり」した本。
極めて、私の考えに近く、そして自分の考えを「まとめる」のにも役立った。

「コミュニケーションの教育」の部分の「音楽」に関する部分は、音楽家であれば必読(極端な話、立ち読みでもいいから読んで!!)。

これほど、明解に音楽と人間との関わりを表した文章をひさびさに読んだ。

ごくごく「当たり前」のことが書いてあり、これが現在忘れ去られているのが、近年の私の「いらいら」の原因だったのかもしれない…と思った。この本は結構売れているらしいので、そういう意味で私の「いらいら」は正しかったのだろう。

なので、是非騙されたと思って、購入してお読みください。

これで、頭の中がすっきりしない人は、そうとう浮世の欲に流されている人なのかもしれないし、適切な人間関係を築いていない人かもしれません。



2008年12月24日

スタニスラフスキー入門

俳優さんと一緒にお仕事をすることがあったので、なんとなく俳優のメソッドというものに興味が出てきた。
とりあえず、有名なので、スタニスラフスキーシステムについての入門書を読んでみた。
スタニスラフスキーが演技に関する指導システムを試行錯誤しながら築いていく過程が主に描かれている。その過程が実に興味深い。心理学や先人のメソッドを参照しながら、自身の思考を構築し、実践し…。
まるで、哲学者のような人だ。


2007年09月28日

「君はピカソを知っているか」(布施英利著)

ピカソの解説本というよりは、ピカソの作品を通して、西洋美術史を概観するといった趣向のもの。
筑摩プリマー新書、なので、入門書。でも内容は基本に忠実でありながら、やたらにわかりやすい。

文体はやさしいが、本格的である。
つかわれている「たとえ」もとてもわかりやすい。

絵の見方、バロックとは?・・・さまざまな文化芸術に関することを、やさしい言葉で解説している。
これがなかなかできそうで、できないこと。

さらっと読めて、次につながく基本事項はしっかりおさえている。
絵画以外の方面にも役にたつ。大人の基礎知識として、この本に書いてあることくらいは知っておいたほうがいいだろう。そういう本。

2007年04月14日

整体から見る気と身体(片山 洋次郎著)

霊やオカルトは信じないけれども、気の存在は信じている。
人間の身体のバイブレーション・・・というのが気なのだと思う。
気配、とか気をつかう・・・とか、いろいろな面で、日本人は気が好きである。

この本では、対話形式で気について、整体について述べられているので非常に読みやすい。

ところどころ、なるほどという表現に出会う。
「ひざを緩めて立つ」とか、アレクサンダーテクニークなどにも通じる考え方だ。
面白かったのは登校儀式。「朝シャン」をそういう観点からみると面白いなと思いました。
その他「短い首」や「花粉症」などの項目も、普段自分が考えていることと一緒で、共感。

読みやすいのが、なによりです。

2007年04月09日

ラテン語のはなし(逸身喜一郎)

一時期趣味を「ラテン語」にしようとおもったことがあった。
で、購入したのが、この本。

副題の「通読できるラテン語文法」にひかれた。

ちょうど翻訳の仕事でどうしてもラテン語辞書を購入しなければならなかったこともあり、ついでに購入。

しかし、やはりそこは「ラテン語」である。そもそも「通読できる・・・」と銘打っているあたりが曲者だった。結局、おおまかに飛ばし読み。ところどころに雑学的に役立つこともあった。

たとえば、アボリジニがラテン語だとか・・・あとアドリブの意味なども・・・
肝心のラテン語の文法は、用語がなんとなく分かっただけ。格変化が多いなあ・・・とか、ああそんなのあるね!という感じでした。

まあ、一応通読はできるし、なんとなく英語化しているラテン語などの語源を知るにはいいかも。雑学好きな人にはお勧めな本。

2006年11月27日

アンビエント・ドライヴァー(細野晴臣)

細野晴臣の著作はほとんど購入している。
説教くさい人生論を聞くのは辛い・・・それが人というものである。
細野氏にはまったくそれがない。

辛いない。でも正しい。

マイペースで音楽活動を続けている細野氏。
でも、YMOで音楽シーンのトップを疾走した細野氏。

いろいろな面がある音楽家であり、人間である。
こういう人にしか語れない哲学がある。

しかし、結論を急がないその姿には何故か感銘を受ける。
考え方を模索する大切さ、そしてそこから得られるもののほうが結論を出すことから得られるものよりも大きいということを再認識。

くだらない哲学(宗教)ノウハウ本を買うより、これ一冊。
賢い人なら、得られるものは無限にある本。

もちろん細野氏の音楽が好きな人は、読むと、彼の作品の意味がよーくわかる。

2006年11月11日

風姿花伝(世阿弥)

教育論、芸術論を語りたい人なら必読の一冊!
岩波版は安くて、とても手軽に持ち歩きできる。
持ち歩いてたまに読むにはとてもいい本だと思います。
カバンに一冊。
(何度も読めば分かるかも?)

現代語訳もあります。
これもお勧め。

2006年10月26日

「芸術力」の磨きかた(PHP新書)

いわずとしれた、林望の本。
なんだか、この人の守備範囲は広い。
でも、読みたびに、なんとなくすらっと読めてしまって、それでいて、それなりに役に立つ。
・・・おそらく、それでいいのだろうね。

芸術とは何か?それを日常の中で見つけていこうというのが、この本の趣旨。
芸術は、生活のなかにとりいれるべきものである!という主張である。

それをアクティブに「遊び」の感覚で取り入れる方法、学びの方法も伝授している。

私が面白かったのは、何故かリンボウ先生の趣味のひとつがクラシックギターだということ。
まあ、楽器習得には基礎練習が大事!という例として取り上げているのですが、ギター習得には音階が重要!と述べているわけです。

ただし、ギターの醍醐味が現在のラミレス(リンボウ先生愛用)から学べるとは思いませんが。
(ラミレス信者の方には申し訳ないが・・・)


この本は、趣味を探している人、また習い事をしていて煮詰まってしまった人にお勧め。
ある意味、ちょっと偏りがありますが、リンボウ先生の意見には「ぶれ」がありません。
まあ、間違ったことは言っていませんし。

芸術関連ビギナーにお勧めの本。

2006年10月08日

「あがり」を克服する(カトー・ハヴァシュ著)

生徒を教えているという仕事なので、発表会のたびに、「あがり」とは何か?について考える。
ということで、この本はとても参考になり、今でも折にふれて読み返す。

結構付箋がいっぱい張ってあって、「自分でも何度も読んだな~」と思ってしまう一冊。

ヴァイオリン奏者のために書かれた本ですが、指の使い方、難所克服のための方法などは、ギターと共通の部分も多く(肉体面でも、精神面でも)参考になります。

「あがり」という面だけでなく、たとえば「速いパッセージが弾けないという恐れ」という章では、技術面、精神面から具体的な練習法を書いていて、そのままギターなどでも応用できます。

あくまでも「演奏家」が揚がらないための方法を書いている点が好感が持てる本です。
決して心理学者が書いた「理論書」に終わっていないところがミソ。

また、生徒と教師のあり方(依存と自立)についても書いているのも、面白い。
「社会的地位もある大人の生徒が子供がえりしてしまう・・・」というくだりもあって、普段レッスンしている自分からすると、「ある、ある!」と思わず思ってしまうことも書いてある。

「練習の工夫」という章も参考になります。

とりあえず、楽器を練習している人なら持っていて損がない本。教えている人にもお勧め。

2006年09月16日

近所がうるさい!(橋本典久)

騒音問題の本である。
近隣の住民の騒音などで悩んでいる人は必読。
それに、われわれ音楽家も必読。意外に知られていない「騒音」の実態・・・。

騒音の正体とはなにか?・・・音楽家であれば毎日練習するだろうから、このあたりの知識を持っておいたほうがいいだろう。

具体的な事例、裁判の結果、騒音の科学的分析、ついでに文化史的な捉え方もしている。
新書版で読みやすい。音楽やる人はとりあえず読んで、自分の出す音に意識的になりましょうね。

2006年03月25日

上達の法則(PHP新書)

サブタイトルは「効率のよい努力を科学する」とある。
おそらくカテゴリーは一般書籍だと思ったが、私がギターを教える仕事&演奏する仕事という立場であるので、その点から得るところがとても多かった本である。

まず、何を上達する・・・ということの効用を書いてある。
この部分がとてもいい。つまり、誰でも何かひとつに秀でることによって、その後の人生全てにおいて「自信」がでてくるのだという。
確かに楽器の習得が早い人は、何事も飲み込みがいいような気がする。

その後、ある瞬間に「悟る」感じ・・・だとか、模倣の重要性、質と量の関係・・・それこそ、おそらく何かを習っている人(または教えているならば、だれでも「ああ、そういうことだったのか!」と思わせられることが多い本であることには違いない。

特に長年、何かを習ってきた人には、「あの時の先生の教えはこういう理由があったからなのか!」というふうに思う部分が多いと思う。

つまり、これは私の音楽家、教師の仕事のうえで、経験から学んできたものを理論づけてくれている本である。

「禁煙ファシズムと戦う」(ベスト新書)

最近買った本でもっとも“感動”した本。
おそらく、スモーカーであれば、ああ納得・・・と誰でも思うはず。
これを読めば、普通の“知性”がある人であれば、喫煙=悪とは絶対に考えなくなるはずだ。