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2007年09月28日

「after service」(YMO)(紙ジャケ)

YMOの紙ジャケ再版もの。
このYMOに関しては手を変えシナをかえ・・・という感じ、時期をあけていろいろなバージョンがでるのでほんとうに困り者だ。

そういうビジネス的な面はぬきにして、内容はとてもいい。
テープ演奏をバックに、クリックを聴きながらメンバーが演奏。ドラムはデヴィット・パーマー。幸宏氏は歌に集中したかったらしい。

楽器を演奏するというよりも、音楽を聴かせる&自分達を見せる・・・ということに集中するのもひとつのスタイルなのであろう。結局、その後再結成時のライブも同じコンセプトであったような気がする。

とかいいながら演奏の完成度は高い。やはり初期ライブに比べれば、アドリブっぽさは抜けたけれど、アンサンブルの完成度はやはりある極みまでいっていると思う。ざっと聴くと、やはり楽曲のクオリティが高いことが分かる。YMO入門者にもお勧めかもしれない。

やっぱり細野氏のベースはいい音している。ノリも素晴らしいし。

「君はピカソを知っているか」(布施英利著)

ピカソの解説本というよりは、ピカソの作品を通して、西洋美術史を概観するといった趣向のもの。
筑摩プリマー新書、なので、入門書。でも内容は基本に忠実でありながら、やたらにわかりやすい。

文体はやさしいが、本格的である。
つかわれている「たとえ」もとてもわかりやすい。

絵の見方、バロックとは?・・・さまざまな文化芸術に関することを、やさしい言葉で解説している。
これがなかなかできそうで、できないこと。

さらっと読めて、次につながく基本事項はしっかりおさえている。
絵画以外の方面にも役にたつ。大人の基礎知識として、この本に書いてあることくらいは知っておいたほうがいいだろう。そういう本。

2007年09月23日

パンピングナイロン(スコット・テナント)

ギターテクニックのポイント本。

なんかものすごい“現代奏法”の集大成みたいに考えられているが、おそらく「まとも」にクラシックギターを弾いている人(&教えている人)であれば、すべて周知の技術が書かれている。

この本を読んで、「え!そうなの?」という人は、おそらくかなり無理してギターを弾いているのだろうな・・・という試金石ともいえる本。

できれば、この本の中からギター奏法の基本となる“考え方”を見つけ出して欲しい。

まねしても駄目・・・ということです。

全てのクラシックギタリストにお勧め。

2007年09月21日

バッハ作品集(セルシェル演奏)

バッハを11弦ギターで演奏。
とにかくかつてセンセーションをまきおこした「バッハ演奏」であるに違いない。

今聞いても素晴らしい。
表現意欲はありながらも、すべてがコントロールされている。

11弦ギターの独特な響きが、古楽器を思い起こされる。なにか古の時代を思い起こさせる音色である。

おそらく、このセルシェルによるバッハは「ギターによるバッハ演奏」という範疇でくくってはいけないような気がする。リュートよりもある意味では、リュートらしい。そしてギターというよりはバッハの音楽が純粋に聴こえてくる。

スペイン発祥の楽器=ギター、というふうに考えると、やはりセゴビアなどの演奏に軍配があがるが、「音楽」というカテゴリーからみたら、あきらかにセルシェルが正当・・・。

イエペスなどと聴き比べてみるのも、「ギター」という楽器とは何か?を考えるのに役に立つ。

2007年09月19日

汎音楽論集(高柳昌行著)

高柳氏はジャズの分野で活躍。
日本のフリージャズの開祖とも言える人である。

帯の文句「糟も残らぬ音楽等、論外である」・・・ハードな言葉。
内容は様々な雑誌などに寄稿したものを集めたものである。

ガボール・サボを音楽家として高く評価している。オリジナリティの観点からである。

個人的にはローリンド・アルメイダの来日公演への批評が面白かった。
とてもひどい演奏だったらしい。ところどころにクラシックギタリストへの深い造詣が伺えるところもあり、博学であったのだなと感心した。フラメンコも聞いているし、ショーロなどもすでに研究していたそうだ。

こりゃあ、凄い人が日本にもいたものであると、ひたすら感心して読み進めた。