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奏法論ギター奏法論第一章第5部再び、ギターを構えて(体全体編)体全体を意識して第1部から第4部までのまとめとして、ギターの構え方を復習して行こうと思います。 既述のことはできるだけ繰り返さないので、忘れてしまったかたは読み直してみてください。やはり大切なのは呼吸です。ギターを構えても深く呼吸が出来るかどうかが一番大切でしょう。 深く呼吸が出来ればリラックスも可能であり、体全体の自然な姿勢を保つことが出来るからです。 以下右手、左手との関係でギターの位置を定めていきますが、常に呼吸をしてみて、体がきちんと呼吸 できる体勢になっているかチェックしてみてください。 右手から確認まづは右手の接点を見つけます。ギターの表面板は少し上向きの方が楽なようです。表面板を床と垂直方向に真っ直ぐにしようとすれば、右腕全体を突き出さざる得なくなり、 体全体の不必要な緊張を生み出します。ギター全体を斜めにして、表面板を上に向けることによって、 右腕は自然なラインを保つことが出来るのです。 左手からの確認左手のほうからギターの位置を設定します。Part4において既に検討したとおり、 ネックはかなり上向きになります。ヘッドが天上を向く方向になるということです。表面板の角度表面板を上に向けずに、右手の自然なラインを保とうとすれば、自然とギターのブリッジ側は 体の近くになります。脇を締めてギターを固定しようというアイデアです。このフォームには欠点があって、ネック側が遠くに離れていくのです。こうするといくらネック をチェロのように「縦に長い方向に」持ち上げたとしても、左腕を伸ばさねばならず腕全体の感覚を 喪失することになります。 左手から考えていけば、ネックを体に近づけようとすれば、ブリッジ側を突き出して、体の右半分を 突き出さざる得なくなります。まるで、シーソーのようにあちらを立てればこちらが立たずといった感じです。 これを解決するのが表面板の角度です。表面板を上に向けることにより、ギターの上半分(6弦側です)を 体に近づけることが出来ます。ただし、あまり表面板を上に向けすぎると、左手を突き出さざる得なくなる ので、その辺は微調整して下さい。左手首を突き出すくらいにネックの表面が天上を向くようにすると、 左手の自然な力伝達の流れが手首で断絶されますのでご注意を。 手順としては、ギターの表面板をかなり天上に向けて右手のラインを決め、 それからネックのヘッドを上に向けるように引き上げていってください。 ギター全体を体に近くに引き寄せるということも忘れないように。 右手のギターとの接点右手の自然な動きを妨げずに決めることが大切なことです。ギター全体を斜めにした場合、 ブリッジの上あたりというよりは、少しサウンドホールよりから右腕が弦に対してアプローチ するという感じになるようです。この点に関しても、今までの「固定観念」を捨てることです。 右手とギターの接点は、右半身の自然な動きを妨げないという前提をもとに決定してください。 ギターに対して、どのようなアングルで腕が配置されても問題はありません。参考フォームと結論参考フォームとしては以下の演奏家のフォームを参考にするとよいでしょう。両足の太股にギターのボディをのせて、ネックをチェロのように立てて演奏するフランツ・ハラー。 表面板を斜めにすることによってカルレバーロ奏法の構えの欠点を解決したアルバロ・ピエッリ。 以上の人はあくまでも一例ですが、彼らの演奏姿勢は非常に参考になります。ただし、彼らの真似はしない こと。どのようにしてそのような構えに至ったかを自分で発見するのが一番大切なことです。 その道程を辿って、彼らと似たようなギターの構え方になったのなら、問題はありません。 何よりもまず、「本人が自然に演奏できる」姿勢を基本にギターの構えを決定していくことが大切なのです。 ただし、「自分は楽に弾いている」と思っても、かなり無理をした演奏姿勢で弾き続けている人も多いのですが。 このようなことを避けるために、少しでも早くから「正しい体の動かし方」を理解している教師のもとで 基礎から学ぶのが賢明なことであると思います。また、中級者以上の人でも、少しでも手指や体に負担を 感じたら、自分のフォームを見直すことです。 中級者、上級者のほうが初心者よりも「体が無理な弾き方に馴染んでいる」ために、 フォームの矯正は無理が多いのが現状です。そして最も問題なのが、演奏障害の症状が現れるまで 「自分は正しくギターを構えている」と多くのギター弾きが考えていることなのです。そして、 腱鞘炎や腰痛の症状が現れてから、針やマッサージなどの「治療」を行い一時的には直りますが、 「正しくない演奏姿勢」を変えない限り、演奏障害は深刻になっていくばかりです。 「演奏障害の予防法」は「正しい姿勢=できるだけ自然な姿勢を理解すること」です。 そして、不思議なことに「正しい演奏姿勢」を習得することにより、飛躍的に早いパッセージや アルペジオを楽に弾けるようになります。練習時間も少なくなります。 これは、当たり前のことで、自分の体の機能を100パーセント使えるようになるからです。 そして、一度こうした「常に既存のことを考える」という姿勢が身につけば、それは練習方法にも 「効率的な方法」を採ろうという考えが生まれてくるからです。
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