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富川ギター教室

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奏法論

ギター奏法論第一章第4部

再び、ギターを構えて(左手編)

左手も(第3部と)同様にスタート

奏法論Part1では、『「足台」という器具は「不自然な体の動き」を誘発する道具であるようです』 という結論が得られている。Part3の冒頭で、この事については述べているので繰り返しません。 もし読んでいない人がいるなら是非お読み下さい。しつこいようですが、先ずは、正しく座る ことからスタートです。
注:第1部の注に書きましたが、現在私自身は「足台」を使用しています。(2004年11月10日)

左手の基本

正しく座れたらギターを持たずに左手の握る動作をしてみて下さい。 手首は真っ直ぐにしたほうが握る動作は楽にすばやくできることであると思います。 そして手のひらを体側に向けてグーパーを繰り返した方が楽であることも分かるでしょう。 左手親指を体の外側に向けた状態で(つまり手のひらを上に向けた状態で)手を開いたり 閉じたりする動作を繰り返すと、前腕に若干の違和感(窮屈な感じ)が感じ取れることであると思います。

ネックの位置をイメージする

前項で「手のひらは体の側に向いている方が指の感覚が得られ易い」という結果が出ました。 ギターのネックを床と平行に近い方向に構えることは、手指の動作に悪影響を及ぼすと考えな ければなりません。ネックのラインはかなり「縦長」にイメージすることが大切である、と思います。 まるでチェロのように。結果として、ネックの位置は高めに取った方がいいということです。
「ギターのネックを床と平行に近い方向に構える」という「伝統的な構え」は左手首の折り曲げを 強要するフォームです。試しに手を手首から90度内側にぐっと曲げて、グーパー運動(手指の把握運動) をすばやく繰り返して下さい。前腕の内側にかなりの圧迫感を感じるはずです。
そして、手首を自然な真っ直ぐにした状態にして同様の把握運動を行った時に比べて、指の俊敏さ は失われたはずです。「ギターのネックを床と平行に近い方向に構える」というネックの位置で、 「弦は真っ直ぐに押さえる」という原則に従うと必然的に手首は窮屈に曲がり、指の運動を妨げます。 それでも無理して押弦しようとすれば、「障害」の原因となるのです。
話しを戻して、グーパー運動を繰り返しながら、左手の可動範囲を定めます。ネックというよりは 30センチから40センチくらいの長さの棒のようなものをイメージしながら、それを左手で握るとした らどのように配置したらいいか、を想像します。下はお腹の前辺り、上は肩の高さ辺り、そして、 肘は90度以下の角度である方が指の感覚が得られ易いと思います。

実際にギターを配置する

ネックは体に近い方がよい、のです。そして、かなり斜めにギターを配置することになります。 イメージとしてはチェロの構え方でしょうか。前項でイメージしたネックのラインに合わせて実際に ギターを合わせていって下さい。ほとんどの人がかなり斜めにギターを配置することになるでしょう。 手のひらを内側に向けることにより必然的にネックは体に対して縦の方向に向かざるを得なくなるからです。 そして、左手の親指はネックを握り込む感じに配置されるでしょう。「親指はネック裏中央に配置」 という伝統的な原則を遵守しようとすれば、手首を不自然に突き出さざるを得なくなり指の運動を妨げます。

握り込むフォームの勧め

ネックは自分の体に近く、斜めに構えた方が、左手指は自由を獲得します。 そして、左手親指の位置は自由で良いのです。ネックを握り込む左手のフォームは指の運動を 腕全体に伝導させる上で「有効」なのです。
伝統的な教授法では「親指はネックの裏に隠れていること」となっていますが、 しかし、手指の把握運動を円滑に行う点から左手のフォームをネックに対して設定すれば、 必然的に握り込むフォームになってしまうのです。俗に言う『カントリーグリップ』というやつです。 実際に曲を演奏する上でこの握り込むフォームのみで複雑な和音などを押弦することは不可能ですが、 出来る得る限り左手指の運動が腕の運動と連動させるためにも、一度このフォームで押弦し、 指先の感覚を「今までの構え」と比較してみることをお勧めします。

「ぶら下がる」という感覚

上述の項で「握り込む」と書きましたが、もっと厳密にいうとギターのネックのアール(曲面) に引っかけるという感じです。ネック中央に親指を配置するという従来の奏法上の原則では、 手全体がネックにぶら下がっているという感覚を得られないばかりか、左手親指に力を入れないと 腕は床方向に落下します。この落下への恐怖感から、親指と押弦を担当している指との間に過剰な テンションが生じます。この極度のテンションが左手指の障害を引き起こす原因となるのです。 ですから、是非手全体がネックにぶら下がっている感覚を得て下さい。この感覚を獲得するためには、 親指をギターネックの6弦側の裏側あたりに配置してみることを勧めます。

指先の感覚

押弦する上で指先の感覚というのは大切です。この感覚は前項の「握り込むフォーム」のほうが実感できます。 以下の実験をしてみて下さい。
  1. 左手を一度握り、開く
  2. それをその形のままネックの方向に持っていく(弦を押さえようとして手首を曲げないように)
  3. 任意の弦に人差し指を引っかける(あくまでも「引っかける」という感覚で)
  4. 腕全体の重みでフレットに引っかける感じで「押弦」
  5. 腕全体でぶらぶらとさせ、フレットに引っ掛かっている「指先の感覚」を感じる
以上の実験です。今までの「弦を真上から押さえつける」という「押弦のイメージ」とはかなり異なります。 あたかも腕の重みで指がフレットに引っ掛かっているというイメージです。しかし、このほうが指先に弦 の感覚が強く感じられる筈です。そして、この「指先の感覚の獲得」イコール「腕全体を駆使しての押弦」 への近道です。

第4部での結論

左手に関しても、右手と同様のことが言えます。「自然な手の動きを妨げないこと」です。 往々にして、「弦を真っ直ぐに上から押さえる」という「伝統的な教え」が左手の自然な運動を妨げる フォームを強要している場合が多くあるようです。まづは、「左手が楽に物を掴める」動作が出来るように ネックを配置してやることが大切なのです。それから、指の微調整を行っていくほうがお勧めです。
手がぶらさがっている、という感覚も常に大切にしてください。この感覚が薄れると、左手の過剰なテン ションを生み出すことになります。「親指対残りの4本の指」という図式で押弦という行為を捉えていると、 指がネック上にいる間常に手は緊張状態に置かれていることになるのです。それは「落下への恐怖」が原因 です。押弦している指がないと腕は地面に落下してしまうところに由来する「恐怖感」です。 この恐怖感がある場合はまだ良いのですが、初心者、中級者は「弦を押さえる」という行為しか意識にない という場合がほとんどで、無意識のうちに「腕全体をネックまで持ち上げていなければならない」というふう に考え腕全体を持ち上げているのです。この状態に更に指のみで押弦しようとするのですから、腕全体 (手指も含めて)の過剰な緊張は解放されることはありません。
腕も重力に逆らうことができないことを意識しましょう。そしてその重力からくる腕の重みを利用して 押弦することが大切です。ネック上に手をキープするのには、親指で「ぶら下がる」という感覚を利用 しましょう。この感覚が獲得できれば「落下への恐怖感」は霧消します。逆に「腕全体の重みで弦を捉え ている」という感覚を得ることができ、指への負担は軽減します。
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