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奏法論ギター奏法論第一章第3部再び、ギターを構えて(右手編)さて、ギターを構えようか奏法論Part1及び、Part2で得られた身体機能の検討をもとに、ここでギターを実際に持って「構えて」みることにする。Part1では、『「足台」という器具は「不自然な体の動き」を誘発する道具であるようです』という結論が得られた。もし、この結論に異議のあるひとは、もう一度該当する個所を読み直して欲しい。よってここでは、まず手始めにギターを構える際に、「足台に足をのせる」というアクションからは出発しない。ここで、留意して欲しいのは、「足台は絶対に使用しない」とは私は一言も発していないこと。Part1で書きましたが、ギターの形状を変化させる、またはギターを斜めにする装置(ギターレストやギターサポート)などの使用を提言しました。しかし、足台に足をのせるという歴史的行為(そんなに古い伝統ではないのですが・・・)にこだわりたい人の考え(審美観)を否定する気は毛頭ありません。だがしかし、足台使用を考えている人は、身体の自然なラインをできるだけ壊さないように妥協点を見つけることが大切である、と思います。そのために、この奏法論のPart1及びPart2を読み直し、自分の身体機能を再検討して下さい。ギターの形状を変える、という点に関しては考慮しないことにします。トライアングル型の楽器を製作している製作家には悪いですが、楽器には「審美的な共通点」というものが存在します。ギターと言えば「女性をかたどった、腰にくびれのある楽器」といったものが、その「審美的な共通点」であると、私は思います。このラインの微妙な差異が生み出す優美さ、気品といったものも「ギターの魅力」であると思えるからです。このラインの魅力を否定する気には、私は到底なりません(注:内部構造の変化は、私は否定しませんが)。 以上のことを考え合わせると、先ずは足台を使うという前提を取り払って、この項を始めたいと思います。先ずは「正しく」座りましょう。ギターを膝の上に置いて@・・・(右手とギターの接点に関して)さて、きちんと座れたところで、ギターを膝の上(厳密に言えば、太股の上です)に置きます。ギターの裏板のところを下にして、です。ヘッドはもちろん左手方向に向けます。ギターを足の太股の上にのせるために、すこし膝と膝の間を広げて座った方が良いでしょう。ギターが床に落ちそうで恐い、という人は左手で支えてやってください。この項では、左手は使用しませんので、それで結構です。 さて、このようにギターが置かれると、表面板は上を向き、床に対しては水平になります(イメージ的にはスティールギター、スライドギターのような感じです)。これで、第1段階はクリアー、準備完了です。 今から何をするかというと、まず、右手とギターの接点を探します。腕全体はリラックスしながら右手(手指)が弦を捉える、という感覚を得ることを目標とした、ちょっとした実験をやってみたいと思います。 先ずは、右腕を体の側面にブランと垂らして下さい。腕の重さを感じることができるなら、腕全体がリラックスしているという証拠です。この感覚を感じ取りながら前腕を少しずつ持ち上げていって下さい。そして、ギターのところに前腕を置きます。指先で弦を捉えて下さい。注意する点は前腕以外できるだけ動かさないことです。指先で弦を捉えようとして、上腕や肩などを前後に大きく動かして調整するようなことがないように。あくまでも、前腕をもちあげて、たまたまそこにギターがあって、腕をそっとギターの上に置いてやるという感じを大切にして下さい。もちろん、前腕の位置を微調整するために、上腕を少し前方に動かすことなどはしても構いません。何より大切なのは「腕を上げたら、偶然そこにギターがあって、前腕をそこに置いたら、指先でギターの弦を捉えていた」という感覚です。指か届かないようであるなら、ギター自体を体の方に近づけてやって下さい。もし、ギターの位置が高すぎて、肩が上がってしまうような場合は、背骨がきちんと伸びているかどうかをチェックしてみて下さい。それでも足りない場合は椅子の高さを上げるとか、厚さのないギターを使うとか(これは冗談です)、ギターの側板を削るとか(これも冗談です)、とにかく『ギターを体に合わせる』という大原則に従って下さい。 指は自然な開きを大切にして下さい。弦に合わせていこうとしないこと。これが大事。指のニュートラル状態を得る方法は既述なので、ここでは繰り返しません(Part2参照)。多分、ほとんどの人が、「親指(p)がD弦、人差し指(i)がB弦、中指(m)がA弦、薬指(a)が@弦」という指の開きが普通でしょうか。自然に手が開いている状態で、これよりもpとiの間が広いような人は、pをE弦に置くことになります。 「腋を締める」ことにも留意すること。そうすることによって、腕は安定感を獲得することは実験済みです。そうすれば、自然に前腕は体の内側を向きます。ワープロを打つ時の角度とでも言った方が分かりやすいでしょうか?。とにかく、「腋を締める感覚」を忘れずに。指は、体に近い方から、p、i、m、aとなるはずです(つまり、前腕はギターに対して斜めに入る、といった感じ)。よって、上記のような「親指(p)がD弦、人差し指(i)がB弦、中指(m)がA弦、薬指(a)が@弦」という指と弦の対応が成立するのです。 それができたら、ギターの弦を「捉えて」下さい。「掴んで」という感覚でもいいし、「引っ張って」という感じでもいいです。指先で、弦の感触を得て下さい。この感触を感じながら、手首を持ち上げたり、前腕を少し前後させたり、指を動かしたりして、様々に指先と弦との接触感覚を体験して下さい。弦に対して、「指をグリグリする」といったニュアンスでしょうか? この「グリグリする」動作を試みながらも、ギターに腕の重さによって置かれている前腕と楽器との接触点を感じてください。この時点においても、ちょっと前に感じられていたはずの腕の重さを感じることができていたらいいのですが・・・。指の微調整、前腕の位置の微調整をしているうちに、一番最初に腕をブランと垂らした時に感じられた「腕の重み」の感覚はかなり希薄になっているはずです。この腕の重さが感じられないということは、腕全体はリラックスしていないということです。さて、どうすれば腕全体はリラックスした状態と指先で弦を捉えるということが同時に可能になるのでしょうか?ギターを膝の上に置いてA・・・(腕の重みを感じること)腕の重みのみでギターの上に前腕が接触しているということが大切であるのにも関わらず、前項においては、指先の弦に対する感触を得るにつれて。その感覚は希薄になっていったことに気付いたはずである。 この世の全てのものの重さを感じるためには、「地球の重力に逆らって」あるものを持ち上げ、地球に向かって落としてやること。腕の重みは上方に持ち上げてやることによって感じられる。そして、その重みを感じたら、腕を持ち上げるために機能している筋肉の使用を中断し、落としてやるのである。 『手腕全体をギターに対して、落としてやる』ことを試してみて欲しいのです。これは冗談ではありません。もしかしたらギターが壊れるかもしれないので、自分の責任で実験して欲しい。安いギターで試すのもお勧めです。どうしてもギターで試すのが嫌であれば、机の上に前腕を置き、そこから真っ直ぐに持ち上げて、どすんと机の上に腕を落としてやる、という動作を試してみてもよい。その腕の重みと同様の感覚をもって、ギターと腕との接触点及び接触の感覚を得て下さい。 もしこの「腕の重み」が完全に感じられたならば、ギターをきちんと(演奏するために)構えた場合においても、腕のリラックス状態を保とうと脳が機能してくれます。不自然に腕を持ち上げたり、ギターがずり落ちるのを怖がって腕で押し付けようとすれば、腕の重みの感覚は失われます。同時に腕の自然なライン(流れ)も失われ、体全体のパワー(註:現時点では腕全体というニュアンスの方が近いであろう)を指先まで伝導できないという結果を引き起こすのです。 よって、「ギターを構える」という意識を持たずに、腕全体の重みを感じながら、ギターとの接触を試みることが大切なことです。先ずはいったん、『右腕はこのような角度で・・・』とか、『腕のこの辺がギターのこの辺に位置する・・・』といった先入観を忘れて、水平に足の上に置いたギターに腕を「落として」みる実験をして下さい。想像以上に「腕は重く」且つ、その結果「この重みがあればギターはずり落ちることはないな」と感じることができることと思います。 実際に、ギターを普通に構えた際に「ギターが床のほうにずり落ちる」という恐怖感を持っている方も多いようです。この恐怖感を軽減するために「自分の腕の重さへの信頼感」を持って下さい。腕はあなたの思っている以上に重くて、しっかりとギターを体側に引き止めて置いてくれるという「信頼感(コンフィデンス)」を持ってやること、このことがこの項の実験で感得・理解できれば良いと思います。ギターを膝の上に置いてB・・・(腕の重みを感じながら、弦を捉える)腕の重みを感じながら、再び指先を弦上に配置します。「親指(p)がD弦、人差し指(i)がB弦、中指(m)がA弦、薬指(a)が@弦」という配置です。接触点の調整中の腕の重みの感覚(リラックス感覚)が薄れてきたら、基本に戻って、腕を上方からギターに向けて落としましょう!。腕の重みを感じつつ、上記の指の配置を微調整する作業を繰り返すのです。 そうすることによって、上方から落ちてきた手が弦の然るべき位置に着地する、といった感じになってきます。手を頭の上以上の高さに上げ、手首の不必要な力を抜くと、少し手首から折れ曲がった感じになります。その状態からギターに向かって(厳密にいうと、ギターの弦に向かって)腕全体を落とすと、手首から手は逆方向に反って落ちていき、着地の瞬間に、弦を「はたく〈叩く〉」という風になるはずです。この「叩いた」瞬間に、各指が然るべき弦を「捉える」ようにして下さい。弦を各指が捉えた後、指が弦と接触している更なる感覚を得るために、握る感じに指を動かします。これが「ギターを膝の上に置いて@」のところで述べた、指を「グリグリする」動作です。指先で弦をしっかりと捉えながらも、手首など関節を自由に動かして、「腕全体で」弦を引っ張ったり、押し付けたりしてみて下さい。 この動作を繰り返せば、「弦を腕全体で捉えている」という感覚を得ることができます。そして、手首が少し持ち上げられた方が弦を「掬い上げる」感覚が得られること、弦を腕の重みだけでかなり、弦をサウンドホール方向に(楽器の内部の方向に)押し下げることができる、という新たなる発見も得られることと思います。・ また、弦に指が着地した後に、再び腕を頭の上ぐらいの高さに持ち上げる時に、腕がどのような状態になっているか、よく記憶しておいて下さい。まるで、ピアニストが打鍵後、フワっと腕を持ち上げたような状態になっていれば、良いのです。ギターを膝の上に置いてC・・・(音を出してみる)さて、音を出してみましょう(やっとですね)。言葉の定義上の問題ですが、「音を出す」と「弾く」とは、とりあえず区別しておいて下さい。皆さんには今迄身につけてきた「弾く」という感覚(=「弦の弾き方」)を忘れてもらうしかありません。弦はこういう風に指を動かして弾くのだ、というような定見を捨てること。これが「体の自然な動きに基づいた弾き方を発見する」ためには大切です。今迄の弾き方で充分楽に弾けている(体に何の障害もなく)、という人は、何も言わずこのページから出ていってくれて結構ですので。 話は少し脱線しますが、以上のようなことを書くと「この奏法論は独断的で、従来のギター奏法を全て否定している」と思われる方もいるかもしれませんが、決してそんな事はありません。皆さんには、自分の体の動きを再発見して欲しいのです。そして、「自分の弾き方を発見して欲しい」というのが私の願いです。スペイン語では「発見」のことを「デスクブリミエントDESCUBRIMIENTO」といいます。語源的なもので見ていくと「覆われていたものを(CUBRIRされていたものを)なきものとする(DES)」ということになります。今まで気付かずに自分の体の中に隠されていたものを、是非もう一度「取り戻して」機能させるということが、本論を書いた願いです。あなたが弾き方に少しでも疑問を感じているなら、この論を読み進め、自身の奏法に応用してみて下さい。選択肢は多い方が、何事もよい結果を生むと、私は信じていますので。 さて、本論を続けましょう。弦はこういう風に指を動かして弾くのだ、というような定見を捨てることができた人は、次の段階へと進みます。この実験をする際、「ギターを膝の上に置いてB」で得られた(はずの)腕全体のライン(流れ)を意識しましょう。腕の重みを確実に感じることができた人は、ギターに向かって腕を落とすということを、基本スタートとしなくてよいでしょう。正しく座った姿勢から、ギターを足の上に水平に置き、腕を回してきて、指先を弦の位置に揃える、という段取りを踏めばよいということです。ただし、もし「腕全体のラインの感覚が希薄になってきたな」と思ったなら、もう一度ギターに向かって腕を落とすという動作を繰り返して、「腕一本の重み」を感じ直しましょう。さて、「親指(p)がD弦、人差し指(i)がB弦、中指(m)がA弦、薬指(a)が@弦」という対応(註:以下、この指の配置を右手指の基本的な配置とします)で指を弦に置き、以下の実験をしてみてください。そして、どのような感触が指先に感じられるか、腕全体の感覚はどのようか、などを自分の記憶に留めておいてください。なお、以下の実験では、指の動きは「弦から指が離れないように」という微調整としてしか動かさないようにしてください。まだ「指で弾く」という段階ではありませんので。
右手を握ることによって、音を出すさて、ここで、やっと、指を動かして音を出します。まだまだ、ギターは足の上に水平に置かれている状態ですよ。指を動かしてといっても、「握る動作」によって、です。指を一本ずつ動かすのではないことに注意!。各指を基本的な配置に置き、弦を捉え、握るだけです。この時、日常動作の握る動作と、できるだけ同じような動き方をするようにします。弦の抵抗に負けて、握りきれないこともあるでしょうから、まず弦の抵抗を感じることから始めましょう。弦を各指で捉えた状態から、少しずつ手を握っていきます。そうすれば、各指に弦の抵抗が感じられるはずです。この抵抗を感じながら、更に内側に手を握り込んでいきます。弦も引っ張られていき、だんだん抵抗力も強くなっていきます。この弦の抵抗に握る力が負けたとき(又は、指が弦から滑りぬけたとき)に音が出るという感じです。弦の抵抗を充分に感じることが大切です。多分、これほどまで弦が張力をもっていたのか!、と再発見した人も多いことでしょう。 弦からすり抜けた指は、握り込んだ状態に持っていかれます。じゃんけんでいう「グー」の状態になるということです。指の第一関節から折り曲げて、握り込んでやる動作を「弦を弾こう」という意識を排除して実行すれば、自然にそうなります。この「弦を弾こう」という意識を排除することが、どれだけ難しいことか理解できたことと思います。「握る」ということだけを意識すること、そして、たまたまそこにギターの弦があって、指に抵抗しているという感覚でやってください。 留意する点として「爪」の問題もあります。既にギターを弾いていて「爪で弾いている人」は、逆に爪を意識しすぎて、ただ手を握るという動作に集中しづらいのです。たぶん、既にある程度弾いている人は、それまでの指の動かし方に合わせて「爪の形状」を決定していることと思います。だから、爪が今までの弾き方を誘発させるのです。こういう場合、実際のレッスンであれば、私が「握る動作」ができるように爪の調整をします。この「爪の形状」が妨げになって、悪い弾き方、昔の弾き方で指を動かしてしまうということが多いので、「握る動作」がしやすい「爪の形状」を、目の前の生徒には作って上げるのです。この「爪調整」をしてあげると、ほぼ90パーセントの生徒が難なく「握る動作」によって「音を出す」ことができるようになります。今ここで、爪の形について書くならば、この項のテーマから脱線することになるので、この問題は別個に後述することにします。 話を戻します。結論としてこの握る動作によって「音を出す」ことさえできれば、後は各指を独立して動かしてやる段階へと移行していくだけです。ここで、その段階を全て記述することはしません。この右手での「音の出し方」から「弾き方」への移行の段階の説明は、しかるべき時に説明します。それは、左手のフォームが決まって、ギターの構えが完全に決まった後のことになるでしょう。今ここでは、腕の基本動作をよく研究することで充分でしょう。第3部のまとめさて、ここまでのまとめをしておきます。「音を出す」ということは、「腕の動き」、そして、「握る動作」が基本となっていること。腕の重みを感じることが、腕を一本のライン(流れ)として機能させるために大切なポイントであること。以上2点がまとめになるでしょう。実際に左手のフォームも決定し、「ギターが構えられた」時点から、更に、右手(左手も)の再検討も必要となってきます。よって、再び該当する項で右手の機能について説明することになるでしょう。爪の形状も指の運動に大きく関わっていきますので、その段階で説明します。
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