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聴かせる演奏を目指せ!表現法講座楽譜の表紙から分かること楽譜からの情報音符が始まる前の表紙、または裏表紙などから様々なことが分かります。なんで?タイトルと作曲者くらいしか 書いてないじゃん!、という方もいると思いますが、以下をお読みください。できるだけの情報を集めてみよう!楽譜からその作曲者が持っていたもともとのイメージを想像するためには、どのようにすればいいので しょうか?霊媒師を呼んで作曲家を蘇らせることが一番なのでしょうか?(冗談です)。 そんなことはしてられないし、ソルを呼び出して、日本語でしゃべられても、その霊媒がギターを弾 けなければどうしようもありません。ではどのような情報を紙切れだけの楽譜、ここでは表紙とその近辺から から得ることができるのでしょうか?いくつかのコツがありますので、以下に書いておきます。作曲家と時代作曲家がどこに生まれ、どのような時代であったかが重要です。親切な楽譜であれば、裏表紙のあたりに作曲家の 生没年、生い立ちなども書いてあるので、辞書を引きながらでも読みましょう。作曲家が活躍していた時代くらいは 見当をつけることができるといいですね。それが分かれば、あとは出身国。同じバロックでも、イタリアと スペインでは相違点がありますし、メロディーのアクセントなど、その作曲家が母国語とする言語に影響を 受けやすい傾向があります。音楽の時代区分なんて知らねーや、という方は、簡単な音楽史の本を読みま しょう。各時代、どのような音楽の特徴があったか、どのような作曲家がいたのか、そしてその聴衆がどのよ うな身分の人々であったか、などなど、おおまかに頭にたたきこんでおけばいいです。それも面倒な人は、 目次の時代区分だけ、あたまにたたきこんでおきましょうね。タイトル題名から得られる情報は多いです。流行歌なら「川の流れのように」とあれば、川が流れるようなイメージの アルペジオが使用されることが多いでしょうし、「痛み」であれば心の痛み、もしくは肉体の苦痛を表現した 曲なのでしょう。ギター曲で有名なターレガの曲には女性の名を冠したものが多く見られます。これが彼の娘 の名なのか、弟子の名であったのか、もしくはパトロンの娘のものであったかがどうかで曲への思い入れが変 わってくるはずです。「マリエッタ!」は死んだ娘の思い出に捧げたものであると言われています。 中間部の長調での楽しげな部分は娘が遊んでいる姿の回想を表現したものであるといわれています。バロック時代の曲には具体的なタイトルがついているものは少ないといえます。基本的には「メヌエット」 「サラバンド」といった舞曲の名がついているものが多いのです。この場合、バロック舞踏の知識が役に立 ちます。書店などでバロック舞踏の参考書、研究書など出版されているかどうか調べてみてください。 そしてそれらの本を読み各スタイルのステップ、どのくらいのテンポで踊られていたのかをイメージすること が大切です。本を読んでもイメージが沸きません!というアクティブな方はビデオや講習会に参加してみて ください。実際に踊ってみればメヌエットのテンポ、アクセントの取り方が分かるはずです。 校訂者と運指と作曲家曲を書いた人物がギタリストであったか否か、は重要なポイントとなります。 ギタリストが書いた曲であれば、その指運び(運指)から重要な情報を得ることができます。 フレーズなどをどう歌わせたいかなどの情報です。たとえば、ターレガの運指などはできるだけ忠実に 守ったほうが良いと思います。ですが、日本人の手が入った譜面も多く流通していますので要注意です。 輸入版などでターレガが存命中のファクシミリ版なども入手できますので、できるだけターレガの運指 を忠実に写し取ったものを使用すべきです。ギタリスト以外の純粋作曲家(?)が書いた作品の場合は、それに運指をつけたギタリストによって その楽譜は命運を左右されます。たまーにやっつけ仕事の運指付けで「演奏不可能」な楽譜も世の中には 存在します(ほんとです。興味のある方は私のレッスン室で数点見せてあげます!)。 「運指・校訂」とまでなってしまうと、実際の元の譜面がどうなっていたのかまで気になってしまうものです (気にならないプロギタリストもいますけど・・・)。三流のギタリストが校訂してしまうと、音を省き過ぎたり、 またはその逆も起こりえます。そうなると作曲家の意図(イメージ)は崩壊してしまっている場合も あるのです。第3者による校訂、運指の例で有名なのは「セゴビア・エディション」があります。 これは基本的に「まねぶこと(=真似をすること)」をお勧めします。しかし、世界的大ギタリスト・ セゴビアの権力に負けて、楽譜の改編を承諾してしまった作曲家も多いと思います。また余談ですが、 セゴビアの趣味または多忙の陰で世に出なかった楽曲も多くあるのです。これは最近「セゴビア・アーカイブ」 シリーズとして出版されています。かの有名な「コンポステラ組曲」の手稿譜なども添付され、セゴビアの 手が入る前の楽譜がかなり忠実に再現されています。若干違う音楽が聞こえてきたりして研究のし甲斐があります。 やはり、いい意味でも悪い意味でも「セゴビア色」とでもいうものがセゴビア・エディションには あります。 私の師であるホセ・ルイス・ゴンサレス氏のモレーノ=トローバ作品の演奏は定評がありましたが、 楽譜と違う音を弾いている部分もありました。これを問うてみると「俺はトローバ本人から許可をもらった ので、変えて弾いている」と言っていました。これは事実がどうか確かめようがありませんが、こういうこと も起こりうるのです。 ということで、作曲者自身がどのくらいのギタリストであったか、また校訂者が信頼するに足る人物が重要な ポイントとなってきます。 第何版か?という問題版を変わることに楽譜の内容も変わることがありえます。作曲者、編者の方針が変化するのか、なんなのか、 音符自体が変わるのです。もちろんメロディーライン、和声が変わる場合もあります。この場合は、最新の 版が絶対正しいとは言い切れません。作曲者によれば初版が決定稿であり、その後演奏家の依頼によって 「この音を変えたほうがいい」とか言われて(または弾きにくいから易しくして・・・とか)、次の版では音を 変えてしまうこともあるのです。このあたりはあまり神経質にならないほうがいいかもしれませんが、 プロ同士の間では結構楽しいテーマではあります。献呈者曲を献呈するという習慣があります。ふるくは古典期などではパトロンや貴族の子弟 (そのギタリストの生徒が多かった)などに「〜のために」とか「親友〜に捧ぐ」など として楽曲は献呈されています。献呈された人がどのような人であったかも調べるに値します。 その人物が国家の重要人物(大臣や王様レベル)であれば、作曲家は力を入れたでしょうし (または媚びへつらった作風?)、弟子でものすごい超絶技巧家に献呈したのであればテクニックを 凝らした作品になるかもしれません。またお気に入りの女の子に捧げた曲であれば愛情溢れるロマン チックな作風になるかもしれません(例:バリオス「フリア・フロリダ」)。どの場合にしても献呈の 文句をちょこっとチェックしてみてください。けっこう参考になります。で、なにが一番重要?一番大切なのは、時代です。古典なのかバロックなのか、近代なのか現代なのか、です。それと国です。それ以下のことは調べるに越したことはないです。まず、楽譜を買いに行くときは同じ曲で数種あれば、 それらを全部買ってみましょう(お金があれば・・・)。特にバッハのリュート組曲などは、かなりの種類が 出ているので何かこれは絶対に弾くぞ!という曲があれば、可能な限りの版、エディションを探してことを お勧めします。校訂者が違うのか、出版年代が違うのか、いろいろなことが分かると思います。勉強になります。 「楽譜収集」の深みにはまる方もいるかもしれませんが、それもそれで楽しいですよ。
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