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レッスンはないとはいえ、いろいろとやることはある。これが自営業のきついところ。今日はつまらぬ雑事もあったが、基本的に今年の夏と来年の春の仕事のための諸調整にあてる。こういうのは連絡待ちや電話でのやりとりが必要なため、結構時間がかかる。
このあたりの予定は大体目処がついた。あとは細かい打ち合わせのみである。ほんとうに1年ぶりに留学時代の友人と話した。すっかり忘れていたが、紹介した生徒は彼のもとで勉強中らしい。感謝されて、ちょっと嬉しい。
来年春のプランももう動かねばならない時期である。この件に関しても、ほんとうに久しぶりに友人と電話で話す。かつてデュオをやったのが懐かしい。来年は九州ツアー、関西ツアーが実現するかな？
公私の区別がつかない人が苦手だ。本人には悪気がないだけに、悲惨だ。人はそれぞれプライベートを持っている。私はギタリスト＆ギター教師＆研究家なので、それが公である。「私」の部分にはいろいろあるが、それを部外者には見せてはいけないものだと思っている。自分にとってはなんでもないものでも、他人にとっては「痛い」ものに見えることがあるからだ。
「ギタリストとしての人生」は他人に見せてもいいのだけど、それ以外の生活者としての姿を他人に『見せてはいけない』と思うのである。それを見せることは内容如何を問わず、ナルシスティックなものである。それはあまりセンスがない人のやること、と思っている。
私は生徒ひとりひとりをギタリスト＆ギター教師という「公」の立場からしか見ていない。その「公」に情がないというわけではない。このあたりを誤解されては困るのだが、誤解する人が多いのが現実だ。
それだけ、人間としての「公私」の区別がついていない人が多いのだ。
その生徒の身内に何か起こったとしても、それは生徒の「私」の問題である。その問題に対して私に何か決定権があるならば、私は「公」として対応するが、往々にしてそういうことでもないことが多い。
「公私の区別ができない人」は、各自の「私」を生々しいままにこちらに押し付け、頼みもしないのに披露するのだ。それは私のなかの「公」の範疇には入りきらないものなので、こちらとしてはビックリするだけなのである。私の場合、「公私の区別」は個人的目安があるので、こういう類の「勝手に押し付けられた“私”」をはっきりと切り捨ててしまえるのだけど、繊細な人はいろいろと傷つくことが多いだろうなあ、と想像する。
相手を意味不明に振り回したり、傷つけたくないために私は生々しい「私」を披露しないことにしている。
生徒にはいろいろと悩みがある。ギターのことや音楽のこと、ギターに関する将来のことであれば、それは「公」のことである。そういう範囲のものであれば、２４時間対応できるし、出来る限りのことはする。
逆にいえば、「公」と判断すれば、相手に説教やアドバイスがいくらでもできるし、喧嘩もできるのだ。
大学生であれば、その大学生活の悩みを私に相談されても困る。それが可愛い問題であれば、遊びで対応できるだろう。「彼女に振られた」とか「大学の授業がつまらない」とかならね。
社会人であれば、「職場がつまらない」「転職したい」とかのレベルであれば、これもアドバイスくらいならできるだろう。
上記の問題レベルであれば、「世間話」程度で対応できる。相手もその程度でしか考えていないだろうし。
自分の大切な人がいなくなる。この世からいなくなる。そういう経験は誰にでもあると思う。それは「私」の世界の話だ。その苦しみ、悲しみは想像できる。本人と同じレベルでは無理だ。だが、自分の経験から想像することにしている。その悲しみは深いものである。
そう信じるからこそ、相手に自分の「私」を見せてはいけないと考えているのだ。他人からも生々しい「私」を見せてもらいたくないのである。
「情」という言葉を考える。「公私」をわけることが出来る人だけが、「情が深い」といえるのだ。わけることが出来ない人は一見“情が深い”ように見えても、相手の心の聖域に勝手に土足で踏み込んだようなものだ。思慮が浅い、哲学がない、想像力がない…そういう人間が一見“情が深い”と見られている傾向がある。
やはり、まだまだ人間は未熟であるし、50歳すぎても、60歳をすぎても、90歳になろうとも、「うわべだけの情」しか知らない人が多い。やはり、人の世は生き辛い。
ギタリストにも日常があります