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個人的な話。人付き合いについて書く。比較的オールド・スタイル。どちらかというと師匠や先輩から、いい意味で苛められながら育っている。今でいう学校などでの陰湿な「いじめ」ではなく、音楽の世界でのいじめなので、、割りにさわやかだ。ギター教室の先輩などに「お前、この作曲家知らないなんて恥だと思わないのか!」とか「この楽譜くらい買って置けよ!!」とか「お前はギターの音が分かっていない!」…などと言われて育ててもらった。
もちろん、当時は若いので、悔しいし、腹が立つ。でも、そういった人達も、私が努力していると気づくと、「うまくなったじゃん!」とか「音がすっきりしてきたな〜」「あの曲、難しいと思うけど結構弾けてたよ」とか褒めてくれた。
友人ともジャンル問わず、よく喧嘩した。次の日にはけろっとしてまた飲み直ししたりしたけれど。
留学から帰国した場合の頃、友人のバンドマンが私の演奏会に来てくれた。で、終わって一言「お前の演奏からはブルーズが消えた」と言った。私がホセ・ルイスのもとで研鑽を積んでいるときの一時帰国リサイタルの印象が強かったらしい。それと比較すると帰国直後(2千年頃)の演奏は「つまらない」ものに聴こえた…ということである。
こちらは既にプロとしてやっていたので、「何をこのアマチュアが!」と腹を立てたが、彼は「それでもお前の演奏はつまらない!」と譲らない。結局、飲み屋で、1万円札を投げ捨てて、途中で帰った記憶がある。
その後、彼のバンドが軌道にのり、昨年聴きに行った。ブルーズ界の重鎮の前座だったので、彼もそうとう緊張しただろう。ライブ後、「どうだった?」と訊ねて来るので、「馬鹿らしくて良かったよ!」と感想を述べた。彼は嬉しそうに「ああ、そうだろ!馬鹿っぽかったか!…打ち上げ来るだろう?」と述べた。
上記のような人間関係が美しいとは微塵も思わないけれど、今まで付き合ってきた人は「熱い人」が多い。自分の人生をかけているものがある、という意味で。御陰で、今でも自分の中の「熱」を失わずに済んでいるのかもしれない。もし、そういう人付き合いがなかったら、心の中の熱はとっくに冷めてしまっているかもしれない。そういう熱を失わずに生きていくことは、結構辛いものだと思う。この熱を失わないように自分を磨き、他人には苛められながらもひとつのことを続けなければならないからだ。しかし、この熱がない人生などは無為に等しいことであると思う。
ギタリストにも日常があります